きりのちはれ

やみときどきひかり

おもうがままに。

後ろ向きな勉強会のすゝめ

今週をもって会社の同期たちと行っている 

計算機プログラムの構造と解釈(SICP)

の勉強会が1周年を迎えました。

アフィリエイトリンクを貼りましたが、sicpの内容はインターネットで閲覧することができます

それにあたって振り返りを実施し「この勉強会のスキームって異様だけど有効だよね」という話題になったので、その特徴を紹介したいと思います。

ちょっと長くなるかもしれませんが概要だけ読んでも意味が無い気がするので、

興味のある方は背景から読んでいただけるといいかもしれません。

おそらくこの話の対象となる人

  • 勉強する!という決意を定期的にするが長続きしない自堕落な人
  • そこまで勉強したくないけど勉強しないとなぁ…と思っている適当な人
  • スピード感はおいておいて、とりあえず継続的に勉強を進めたいマイペースな人

おそらくこの話の対象とならない人

  • 自力でバリバリ勉強が出来る人
  • 勉強会をうまく進められた経験のある人
  • スピード感を持って勉強を進めたい高意識生命体

背景

勉強ってめんどくさいですよね。

これに同意できない方は素晴らしい人格をお持ちなのでどうかそのままのあなたで居てください。

さて、SICPとはまさちゅーせっつこけこっこの非常に有名なプログラミングの教科書です。

まだ30%程度しか読み進めていない私でも、

ここまで学びがありかつ洗練された構成の本に出会ったことはないと認めざるを得ない名著です。

そして同時に、数多くの人が途中で挫折する超難読書でもあります。

「なんとかSICPから学びを得たい。しかし自分(たち)みたいな自堕落な人間は100%挫折するだろう。」

という思いのもと 勉強(会)が頓挫する要因を排除する ルールを構築することにしたのです。

ぼくのかんがえる勉強(会)が頓挫する要因

落ちこぼれる

人と一緒に勉強している時にありがちな問題が落ちこぼれです。

自分以上に理解の深い人・進みの早い人が居ると焦りを覚えます。

この差がある程度広がってくると「もういいや」という諦めに達してしまいます。

間が空く

何かを定期開催する際、数回連続で中止/不参加になると

「もういいか」という気持ちが芽生えてきます。

中止にするハードルはどんどん下がり、やがて開催されなくなることでしょう。

また、なんとかその状況を脱しても「何をやっていたんだっけ?」という後戻りが発生し、

主題の進捗が滞り副次的なやる気の減退要因となることでしょう。

利益がわからない、優先度が下がる

「何のためになるんだろう」「この時間を他の事に充てたほうが有意義かも」

勉強をする際に内心でこういった考えを抱くことは多いのではないでしょうか。

そこを強い意志でどうにかするのが優等生ですが、誰もがそんなに真面目なわけではありません。

ルール

前置きが長くなりましたが、以下が私達の勉強会のルール(概略)です。

勉強会は週に1度2時間実施する

業務やプライベートな用事、一度に集中できる時間を考慮して週2時間としました。

この程度ならば大体の場合になんとか都合をつけることができ、

これを超えるとどうしようもないケースやめんどくさいという負感情が発生しやすいと考えました。

予習をしてはならない

一番大きな効果を発揮したと思われるルールがこれです。

個人の自由ではありません。してはならないのです。

予習は短期的に見ると個人の学習を進めるのに役立つでしょう。

しかし、誰かの理解が進むということは、相対的に他のメンバーが遅れるということなのです。

この差が「遅れている」という焦りと、「もう終わってるから暇だ」という怠惰につながり、

せっかくの対面勉強会の時間の質を下げるのです。

「誰かが予習しているから自分も予習して足並みをそろえよう」?

なりません。

我々はそんな高意識生命体ではありません。人は怠ける生き物なのです。卑屈な生き物なのです。

ただし勉強会の時間で遅れを感じたならば復習をするのは自由です。

全員参加(4人)をもって実施する

これも予習禁止と似たような目的ですが、進捗の差を容認しないルールです。

また、不参加が自分一人ではなく全員に不利益をもたらすという心理障壁により、なんとか参加せねばという思考になります。

ただし、これに付随して以下の特則を設けています。

  • 予定時刻に参加できない者は、全員が参加できる日時に調整する責任を負う。
    • 参加者全員に弁当(400円)をおごることでその週の開催を中止できる。

勉強会の開催回数を確保すること、それが難しい場合には原因となった人物に罰則、影響を受けた側に利益を与えるルールです。

1年間(推定50回開催)の途中でやむをえず脱退する場合、残り回x100円を勉強会に寄付する

「もう勉強会やめようぜ」を抑止するルールです。

やめる側に障壁があることも効果の一つですが、実は「勉強会を続ける利益」を明確化&増大させることが目的です。

とりあえず1年間勉強会に参加していれば

  • 5000円の罰金を払わなくて済む
  • SICPから学びが得られる可能性がある
  • 他のメンバーが辞めた場合に罰金を受け取れる

という状態ですね。

まとめ

他にも細かいルールやひっそりと期待している効能等々あったりするのですが、

長くなってきたので切り上げたいと思います。

良識のある方、勉強の得意な方、人の内なる可能性を信じている方からすると

ネガティブ、邪悪、無駄…などなど嫌な印象の勉強会かもしれません。

しかし、低意識生命体の身からするとこのような負感情・失敗を前提としたルールは意外と有効なものです。

実際に1年間継続して勉強を進め、学びを得られている(と思っている)わけです。

もし勉強に頓挫した経験の多い方がいらっしゃれば、一度このような「後ろ向きな勉強会」を検討されてみてはいかがでしょうか!